逃げちゃダメだ

 今日、租税法の論文直前講義での講師の先生の言葉に思わず涙が溢れ出そうになった。はっきりいってしまえば、先生の言葉は、試験を目前にした受験生に対する言葉としてはごく当たり前というか、ありきたりの内容ではあった。しかし、その一言一言には、先生自身の心からの想いがこもっていることが容易に伝わってきたし、何よりも、自分たちの置かれた状況に対して、その「ありふれた応援」こそが最も心を揺さぶるものだったのだと思う。
 先生の話に胸打たれて目頭が熱くなっている自分を確認したとき、「あぁ、なんだかんだで俺も必死なんだな。頑張ってるんだな。」って思えて、そして、「このつらいのもあと少しなんだな。」とか、いろいろ考えていたら本当に涙が溢れ出そうになってしまって。授業中だし周り知らない人ばっかりだし、そんなところで泣きたくないから、涙がこぼれ落ちるのは必死で耐えたけど、教室内では少し鼻をすする音も少し聞こえた。


 毎日ルーティーンとして勉強をこなしていると、時々忘れそうになるけど、これは自分だけの戦いじゃないんだ、ってことを改めて認識した。応援してくれる人が自分にはたくさんいる。自分の夢を応援してくれる人がいるなんてこれほどの幸せはない。幸せすぎて胸が締め付けられる。


 今日の先生とはまた別に、入門期に大変お世話になった講師の先生がいるのだけど、その先生も自分の体験談として「本試験最終科目終了とともに、なぜか自然と涙が溢れ出てきた。合格不合格云々を超えて、ただ、『あぁ、やりきったな。』という想いがこみ上げてきて、涙が止まらなかった。」ということを語ってくれたことを思い出した。


 「あぁ、やりきったな。」


 そう思えたとき、きっと僕は合格を掴んでいると思う。あと3ヶ月弱、やるべきことはわかっている。やるしかない。長かった受験生活も、もう、最終コーナーだ。