日本がギリシャになったら・・・

 前回、前々回に引き続き経済ネタをあげてみます。今回は、「もし日本がギリシャのようになったらどうやばいのか」というのを、ある一面について、実際の数字を用いてサクッと紹介してみたいと思います。


 さて、現在の日本のGDP、大体いくらくらいかご存じですか?ものすごく大ざっぱに言うと、大体500兆円くらいです。ここ2年くらいで少し落ち込んでるので今は475兆円くらいかと思いますが、日本は長い間名目額では500兆円前後で推移しています*1。このような大きな数字は覚えておいて損はないかと思います。
 次に日本の国債残高はどれくらいでしょうか。財務省ホームページ(リンク)によると平成20年度末で約550兆円の見込み、ということになっています。これは民主党政権になってからさらにどんと増えていると思いますが、今回はこの550兆円という数字を使います。
 この二つの数字を比較するだけで日本の異常さが見て取れると思います。GDPというのは国内総生産であると同時に国内の所得でもあります。したがって、わかりやすく家計に例えてみると、「年収500万円の家庭で550万円借金している」という状況です。


 国債というのは国からしたら借金なので、利息を支払わなければなりません。現在の長期国債(10年もの)の金利は大体1%くらいです。これは国際的にみても超のつくほどの低水準ですので、これのおかげで今の日本はなんとかなっているともいえます。さっきの家計の例で言えば、550万円も借金しときながら利息は年で5万5千円だけ払えばよい、というような状況です。なぜここまで金利が低いか、という話は、大まかな話は前々回の記事にも書いてあると思いますが、現状では国内銀行が国債をたくさん需要しているからです*2


 ところが、前々回のような話で国債需要がなくなる、あるいは日本政府への信用リスクが高まる、などしてこの金利が跳ね上がることが考えられます。たとえば、今回日本がギリシャになったら、というタイトルにしてますので、やや極端ですが、1%が10%まで跳ね上がったとします。
 そうすると、今まで年間で5.5兆円でよかった利息支払いが、一気に55兆円に跳ね上がります。ここで、日本の一般会計税収は、おおよそ毎年50兆円前後です。つまり、国民の税金が単なる利息の支払いだけに消えていくという悲惨な状況になってしまいます。もちろん、国が支払うべき費用は利息だけじゃありませんから(国債の元本返済ももちろんだし、それ以外にもやるべきことはたくさんありますよね)、これはもう大変だ、という話になってきてしまいます。


 もちろん、他の経済条件をいろいろ無視していますし、やや仮定が極端なところはありますので、まぁ話半分くらいに読んでいただけるとよいのですが、こうして実際の数字を見てみるといかに国家財政が苦しいかっていうのが見て取れると思います。
 そして、現実にギリシャがこれに近い状態になって、EUが緊急財政支援を施すなどてんやわんやなことになってるわけです。


 ま、日本とギリシャとはいろいろ条件が違いますので、たぶんそこまで悲観的になる必要もないと思うんですけどね。ですので今回はどちらかというと、こういうマクロデータを見るのは結構おもしろい、ということに僕自身最近気づいたので、それをちょっと紹介してみたかった、というところです。
 財務省のホームページ(リンク)にも、一般向けにわかりやすくデータを記述してくれているので、おすすめです。

*1:デフレ傾向にあるので実質では、GDPは増加傾向にあります

*2:国債需要が増えると金利は下がります