おなかすいた

先日twitterで僕は何気なく「おなかすいた」っていうpostしたんですけど、これってすごいことだと思うんですよ。いや別に僕がおなかすいたのがすごいとかそういうんでなく、僕のようないわゆるパンピーが「おなかすいた」なんていう全くもって無価値な情報を、大衆に向かって垂れ流せるというこの状況、もはや当たり前すぎて感覚が麻痺しかけていますがね、これ歴史的経緯考えたらものすごいことですよね。
かつては情報を発信できる主体なんていうのは中央権力に限られていたわけで。完全な一方通行的な流れ。ちょうど水が高いところから低いところへ流れ落ちるように。
それが民営のテレビや新聞なんかが登場すると、そこに情報の還流が起きるわけですよね。民間が発した情報が中央権力にも影響を与えるなど。ただ、この状況でも我々大衆からしたら高いところから情報が流れ落ちてきているということにはなんら変わりがなくて。
そこにインターネットさんの登場と。これによって個人がホームページなんかを作れるようになるわけですよね。僕も中学生くらいの時ホームページ頑張って作ってましたが。HTMLタグの勉強して、また関連の大手サイトのコンテンツを参考にしながら、自分のサイトを構築してみたりしてね。こうしてなんでもない中学生が(形式的には)世界に情報を発信できるような時代となったわけです。ちなみに、余談ですがid:Alternativeくんとはこのときに知り合ったというか、それ以来の付き合いなんですw
話を戻します。まぁこの段階ですでに相当革命的なんですがね、それでもまだ参入障壁というのは存在してまして、例えば上記のようにある程度の知識が必要なんですよね、ホームページを作るには。まだインターネットが普及し始めた頃なので、専門用語の一つ一つがわからなかったり。自分で好きなデザインを構築しようと思ったらまずHTMLタグに始まり、CSSだとかJAVAScriptだとか、いろいろコンピュータ言語を必要に応じて勉強しなきゃいけないと。それに、そもそも情報を発信するための、その「情報コンテンツ」を用意しないと話にならない。これが意外と難しい。上の「どう発信するか」という技術的な問題は勉強すりゃなんとかなるけど、「何を発信するか」というのは自分で考えて作り出さなきゃなんない。中学生の僕は周りの関連サイトを見よう見まねにやってましたが。
そこにブログというものが登場するんですよね。最初僕は「俺が今書いてる『日記』と何が違うんだよ」とか思ってましたけどね。そう、その頃も僕はそのホームページのコンテンツの一つとして日記なるもの書いてましたから、ブログなんていってるけど要するに日記だろくらいに思ってたわけです。実際、はじめの頃は割とみんな今まで使ってた日記をやめて、新しくブログにリンクを張り直しただけ、みたいな感じだったので、当時はまだブログの特殊性には気づかなかったんですよね。でもブログの威力というのは、今この記事をブログとして読んでいるみなさんが一番わかっていると思います。かつてはホームページで何か「役立つ」情報を発信している人がその傍らでやるものだった日記が、ブログとして独立するんですよね。これはマイナーチェンジのようで実はかなり大きかったはず。これで参入障壁はほぼなくなったといえるでしょう。知識もいらないコンテンツもいらない。文字通り、「誰でも」情報を発信できるようになったわけです。
そこにtwitterなどのミニブログが登場するとこれがより徹底的にというか、より「誰でも」感が強くなった。もちろんブログをつぶやきとして利用している人も少なからずいましたが、それでもブログをある程度価値ある情報を提供するためのものと位置づけている人は少なくなかったはず。僕もそのうちの一人ですが。
ブログのとらえ方はミニブログの登場以前も以後も人それぞれだとは思うんですが、「おなかすいた」という情報を(それ単体で)ブログで発信する人はあまりいないんじゃないでしょうか。しかしtwitter上では日常茶飯事的に「おなかすいた」が氾濫しています。これも大きな変化だと個人的には思います。
僕が今回言いたかったことはこれ以上でもこれ以下でもありません。話を大きくしようと思えばもっと広げようはあるし、それはそれで考えてみる価値もあるとは思うんですが、今回はこれだけ。一言で言えば「twitterぱねぇ」っていうそういうこと。
あと、最後に、今回この記事読んで、社会現象としてこういう現象がおもしろい、興味あるという方は、もしまだ読んでいなければ次の本を紹介します。以前にこのブログにも載っけたことありますが。数年前全米でベストセラーとなった本です。テーマとしては大きく「グローバリゼーション」なんですが、上に述べたような話もキーコンセプトとして述べられています。

フラット化する世界 [増補改訂版] (上)

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フラット化する世界 [増補改訂版] (下)

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