第II回短答式試験合格発表

 本日6月18日、公認会計士試験第II回短答式試験の合格発表がありました。合格された方おめでとうございます。
 まぁ、一受験生として、別に今回の結果に対して何、ってわけでもないんですけど、試験制度に関して激動の時代とも言える昨今の試験は、毎回その結果に驚かされることばかりでして、今回もその例外ではありませんでしたので、それをここに情報としてまとめておきたいと思います。

試験制度概要

 まず、試験に関係ない方にとっては試験制度がややわかりにくいものとなっていますので、それを説明してから本論に入りたいと思います。
 一般にいう、「公認会計士試験」では、短答式試験論文式試験の二つが課され、この両方に合格した者が「公認会計士試験合格者」となります*1。イメージ的には短答式が1次試験で、論文式が2次試験という感じです*2
 そして、今回の平成22年度の公認会計士試験から、短答式試験が2回実施されるようになりました。1回目は前年(今期で言うと平成21年)の12月に、2回目は当年(平成22年)の5月に実施されます。どちらか一方に合格すれば、8月の論文式に進めます。
 以上をまとめると(あと、少し付け加えると)、第I回短答式試験(平成21年12月実施)合格者第II回短答式試験(平成22年5月実施)合格者短答式免除者*3が、2ヶ月後に行われる平成22年度公認会計士試験論文式試験を受けることができる、ということになります。

第I回短答式試験(平成21年12月実施)

 公認会計士試験・監査審査会のホームページ(http://www.fsa.go.jp/cpaaob/shinsakai/index.html)より抜粋です。

1.平成22年公認会計士試験第I回短答式試験の合格発表の概要

(1)第I回短答式試験受験者数

17,583人

(2)第I回短答式試験合格者数

1,576人(合格率9.0%)

・総点数の71%以上を取得した者

・ただし、試験科目のうち1科目につき、その満点の40%未満のものがある者は不合格

第II回短答式試験(平成22年5月実施)

 同様に、抜粋です。

1.合格発表の概要

(1)受験者数

17,660人

(2)合格者数

820人(総点数の71%以上を取得した者)

(3)論文式試験受験予定者数

5,512人

うち 平成22年第I回及び第II回短答式試験合格者数2,396人

短答式試験免除者等数3,116人(注)

(注)短答式試験免除者等数は、平成20年又は平成21年の短答式試験合格者2,481人、司法試験合格者や大学教授等の短答式試験免除者134人、旧第2次試験合格者等の短答式試験みなし合格者501人の合計。


 というわけで、本日発表された第II回短答式試験の合格率、820/17660≒4.6%

過去の試験結果

 新試験制度になって以後の短答式試験の結果を並べてみました。

受験者数(人) 合格者数(人) 合格率(%)
'06 16,210 5,031 31.0
'07 14,608 2,709 18.5
'08 16,217 3,515 21.7
'09 17,371 2,289 13.2
'10-1 17,583 1,576 9.0
'10-2 17,660 820 4.6

 見ての通り、2008年をピークに合格者数・合格率ともに減少傾向にありまして、この間の12月に行われた第I回短答式試験ではついに10%を切りました。そして、今回、第II回で、5%をも切るという状況になりました。大変厳しい結果ですね。

第I回短答と第II回短答

 さて、上に見たように、元々、昨年頃から試験の状況は、受験生にとっては厳しいものとなりつつはあったのですが、今回の結果はあまりに極端なような気もしますよね。これには様々な理由もあろうかと思いますが、個人的には次のものがもっとも大きいのではないか、と思っています。
 それは、合否を分けるボーダーラインの決定方法です。


 新試験制度になってから、ボーダーラインについては、受験案内で次のように設定されていました。

総点数の70%を基準として、公認会計士・監査審査会が相当と認めた得点比率とする。

 実際、過去の本試験でにおけるボーダーラインは60%台後半で、70%を上回ることはありませんでしたが、12月の第I回短答で、初めて、71%と70%を上回りました。
 そして、今回から短答式試験が年2回実施されることになったことに伴って、受験案内には次のような文言が付け加えられました。

短答式試験の年2回化に当たって、試験の公平性の観点から、第I回短答式試験と第II回短答式試験の合格得点比率は、原則として同じとします。


 まぁ、つまり、第II回短答もおよそ71%にしますよ、ってことなんですけど、でも、これって本当に公平なの?という疑問を抱かざるを得ないですよね。だって、もちろん両試験の難易度がまったくもって同じなんてことはないわけですから。実際、今回の第II回の方が全体的に難しかったと聞きます。そして現実問題として、その71%でボーダーを引いた結果、合格率がまさかの5%割れということになったわけです。


 もちろん、審査会側の意図を僕らが知ることはできないので、これ以上は何も言えませんが、年2回の短答を公平に行うのであれば、完全に公平にするのは不可能であるにしても、もう少し方法はあったんじゃないかなぁ、とは思います。


 というわけでまぁ、なんやかんや言ってますが、僕は目の前の論文に向けてただひた走るだけなんですけどね。上に見てきたように、今年の試験は本当に厳しい戦いになりそうですので、ここからは今まで以上に気合い入れてやっていきたいと思います。
 と、こんな記事を書いてるから寝不足になるんですねサーセンおやすみなさい!

*1:さらに、その後実務補習+修了考査をクリア→日本公認会計士協会に名前を登録して、やっと正式に「公認会計士」を名乗ることができます。

*2:実際、旧試験制度はそのような呼称でした。

*3:2年以内に短答式試験を合格した者は免除されます。また、司法試験合格者等一定の要件を満たす者も短答式は免除されます。